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2007年01月21日

最初のMacOSパッケージであるMacSystem Software(通称System Software 0)の概要です。
このシステムは1984年1月24日にリリースされました。主要コンポーネントはSystem 1.0とFinder 1.0で、初代Macintosh用に開発されたものです。本体が400KBのFDを一基搭載するだけですので、コンポーネントはコンパクトに作られており、システム関係のファイルは全体で174KBを占めるにすぎません。また、当時のパソコンはHDDを搭載しないのが普通でしたので、このシステムのメニューにはリスタートやシャットダウンが存在しません。

System 1.0/Finder 1.0のデスクトップ画面です。FDDが1ドライブしなないため、フロッピーをコピーするときは「Disk Copy」を使ってディスクを抜き差しするわけですが、メモリがわずか128KBしかありませんので、何度も何度も出し入れしなければなりません。
「Empty Folder」が一つありますが、このシステムにはフォルダを新規に作成する機能がありませんので、この空フォルダの名称を変更して使用します。名称変更後にフロッピーを差し込むと、あらたな「Empty Folder」が作成されます。当時はMacintosh Filing System(MFS)という非階層構造のファイリング・システムを用いておりました。大量のフォルダを使用することがなかったため、こういう仕様でも問題がなかったのでしょう。
システムを使用するための最小単位System、Finder等はSystem Folderに格納されています。これらのファイルはすべて合計しても174KBを占めるにすぎませんが、それでも1DDのフロッピー400KBの4割以上のスペースを占めます。使用時にはアプリケーションとデータファイルをさらに入れる必要がありますので、かなり余裕のない構成です。
実際のところ、MacPaintとMacWriteの両方を格納しておくと、残りのスペースは10KBぐらいです。これでは一つか二つしかファイルを作成できません。外付FDDがなければ実用性はほとんどないマシンであるということがよくわかります。
システムに付属しているSysVersionというアプリケーションを起動させると、そのシステムのバージョンを確認できます。この画像では「.97」と表示されています。MacSystem SoftwareはSystem 1.0とFinder 1.0の組み合わせが正式ですが、アプリケーションによってはSystem 0.97が搭載されているようです。また、本体に付属していたMacDrawのガイド用ディスクにはSystem 0.85が入っているようです。
MacのOSでいちばん最初のコントロール・パネル画面です。音声、日時、メニューの反応速度、キータッチ、Iビームの点滅速度、マウスの動作速度、デスクトップパターン、ダブルクリックの速度を指定できるようになっていますが、設定対象はそれだけなので、小さなボックスに収まっています。キータッチの速い・遅いがカメとウサギで表示されている点が、Macらしい遊び心かもしれません。
Appleメニューを開くと、コントロール・パネルのほかに「Desktop Accessary」が表示されます。ちょっとした便利ツールが利用できるこのDesktop Accessaryは、MS-DOSにはなかったアイデアでしたので、Macユーザの特権でもありました。その後、さまざまなツールが多くの個人や業者から提供されるようになります。ここにツールを追加するためには、Font DA/Moverというアプリケーションを利用します。
最も重要な機能が入っているFileメニューです。最初のシステムでは全部で8項目しかありません。しかし、ファイルの利用を考えたら、これぐらいの機能で十分なはず。この思い切ったシンプルさが、Macが多くの人に受け入れられた秘訣でしょう。これだけシンプルなら、操作するのにマニュアルが不要なのも当然です。
Editメニューもシンプルそのものです。しかし、最初からUndo機能がある点には注目していいと思います。少なくとも当時の日本のMS-DOSにはUndo機能のないアプリケーションがほとんどでした。また、コピーやペーストがメニュー選択で実行できるだけでなく、ショートカット・コマンドで行えること、その内容がメニューに表示されていることなどは、じつに親切な構成であると思います。
最近のMacOSとの最大の違いはSpecialメニューでしょう。最初のバージョンにはわずかに三つの内容があるのみです。しかも、再起動やシャットダウンという最も基本的な操作が含まれていません。
当時はHDDが搭載されていないパソコンが普通でしたので、再起動するときは、フロッピーをイジェクトした後に、いきなり電源を切っていたのです。いまの感覚からすれば荒っぽい作業ですが、マシン内部にFDDを除いて駆動部分がありませんから、いきなり電源を切っても不都合はないのです。また、再起動はハードウェアのリセットスイッチでおこなえますので、メニューにリスタートがなくても不自由はありません。

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