about 江下ゼミ

ここで言及しているゼミとは、明治大学情報コミュニケーション学部において江下が担当する問題分析ゼミナールです。ゼミは非公開ですが、明治大学在学生にかぎり、見学を認める場合があります。席を確保する都合上、見学希望者は事前にかならず問い合わせてください。なお、通常のゼミ以外にも外部講師を招いた研究会を随時実施しています。こちらは外部に公開する場合があります。

連絡先:駿河台研究棟507号
江下研究室

おもなコンテンツ
  • ゼミの活動記録
  • グループ活動の成果
  • ゼミ生によるブックレビュー
  • ゼミ生の個人研究
  • 指導教員の研究報告
  • 外部講師の紹介
  • ゼミ関係のイベント報告
このコーナーについて
2008年度問題分析ゼミ
  • このコーナーに掲載されているコンテンツは、問題分析ゼミ(3年次対象)の活動報告が中心です。
  • 1年次対象の基礎ゼミ、2年次対象の問題発見ゼミに関する情報は、「sic info」コーナーに掲載します。
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ゼミの活動
  • 前後期の定例ゼミ
  • 外部講師による研究会
  • ゼミ合宿
  • 企業研修
※ 定例ゼミ以外はすべて学生による自主的な参加を原則にしています。
問題分析ゼミのテーマ
研究領域
  • 社会ネットワークの解析
  • 近代社会のメディア史
  • 情報化の進展シナリオ
  • 情報メイブンの役割
  • 娯楽産業のイノベーション
  • 国民的アイドルの誕生と消滅
  • 大衆文化における雑誌の役割
  • チャットの歴史
  • 仮想社会の社会史
  • 少女文化の社会史
  • ヤフオクの消費行動

重点スキル
  • 文章読解・作成
  • プレゼンテーション
  • インタビュー調査
  • 質問紙調査

2010年12月13日

2010年度の問題分析ゼミ第24回の概要です。

日時:2010年12月7日(火)16:20~20:30
会場:明治大学リバティータワー6階1061教室
参加者:21名
江下、内木G(5名)、西林G(5名)、稲川G(5名)、田邊G(5名)

1.発表までの準備
本日の授業序盤は、後半に行われる企業の方を招いてのプレゼンの準備の時間とした。

2.H社の方々に対するプレゼン
・テーマは「学生が使いたいスマートフォンのアプリ」
・H社の3名をお招きした。

2-1 内木班「サンプルアプリ」
発表者(発表順):館山・内木・吉武
【概要】
楽しみながら商品サンプルをもらいたい人をターゲットにしたアプリ。企業は花の育成ゲーム(の中での選択)を通じて、ユーザーの好みを把握して、それを元にターゲットを絞ってサンプルを配布できる。サンプルだけでなく商品が当たる要素を取り入れることでも、ユーザーを飽きさせないなどの工夫がある。ユーザー側にはゲーム楽しみつつサンプルをもらえるメリットがある。企業側にはより確実なアンケート回収というメリットがある。サンプルの配送料は参加企業からの広告費でまかなわれる。

〈質問・意見・アドバイスなど〉
Yさん:このアプリはmixiのゲームのように他者との交流を行わないのか?
吉武:今回のアプリでは行いません。
Yさん:これらのアプリを使ってもらうユーザーの動機に少し甘さがある。
Sさん:人を集める為にはこのアプリ(ゲーム)自体がものすごく面白くないといけない。また、5~10程度の質問でユーザーの好みがどこまでわかるかという点が疑問である。むしろ、好きなサンプルを直接聞いてしまうような直近的なものでも良いかも知れない。
そしてアプリの広告主を集めるのも大変である。そういった意味では、1つの通販会社で既にコストをかけてサンプルを送っている企業に提案するのが良いかもしれない。
Yさん:先に指摘があった通りゲーム自体の面白さが問われる。しかし題材として“花”は面白い。ガーデニングなどを趣味にしている人は多い。趣味を深く掘り下げるというのは戦略として大いにあり得る。また提案先企業として「サカタのタネ」など面白いかも知れない。
Sさん:プレゼンは発表順も大切。一番初めは緊張もする。また発表の際に「○○の気持ちになって聞いて下さい」などと言うと話が伝わりやすくなる。

2-2 西林班「中小企業検索支援アプリ」
発表:藤原
【概要】
就職活動をしている学生をターゲットに、中小企業だけに的を絞った就職支援アプリ。もっと中小企業を知りたい学生と、もっと知ってもらいたい中小企業のニーズをマッチングする。アプリでは企業側がコンテンツを自由に増やすことができる。例えば、文字情報に限らず、社内を撮影した動画などの追加が可能。既存の就職サイト(リクナビなど)と異なる点として、企業毎に異なるパスワードを設定せずに同一のものを用いる。関連企業、取引先などがわかるソーシャルグラフ機能が挙げられる。オープンソースを用いることで企業がコンテンツを増やしやすくする。料金設定に関しては、今回決めきることができなかった。

〈質問・意見・アドバイスなど〉
Yさん:最近は就職活動の為にiPhone買う人がいるくらいだし、無理に無料にする必要ないのでは?そうすることで“冷やかし”もある程度防ぐことができる。コンテンツの作製は企業の負担になる可能性がある。例えば、テレビ用のコンテンツを持つ企業でも雑誌用のコンテンツは持っていないこともある。そういった点にも注意は必要である。
Sさん:既にこういったものはあるのではないか?
藤原:既にあるが、その数の少なさから(学生目線で)実用的ではないと思い、今回のアプリを提案しました。
Yさん:そうであるならば、その原因を考えて取り除く必要がある。
Sさん:こういったアプリのニーズはあると思うが、ここでの“中小企業”とはどういったものだろうか。いわゆる“中小”であっても、その中でも大小はあるのではないか。例えば、名前が知られていない優良企業を指すのか、数人のベンチャー企業を指すのか。
また先の企業の求人コンテンツにおいて、グルナビの写真はプロが撮っていることを考えると、こういったコンテンツ作りのコンサル料を取ることもできるかも知れない。
このアプリを逆に考えて、学生の事を掲載するアプリ(サイト)のようなものがあっても面白いかも知れない。
西林:中小企業にコンテンツの作製は難しいのでしょうか?
Sさん:簡単なことではない。それを補助しうる営業(サポート)部隊が必要となる。

2-3 田邊班「新規SNSの提案」
発表者(発表順):小田・肌附
【概要】
 特定の集団を登録しておき、いつでもチャットができるというアプリ。メール、チャット、twitter・mixi・掲示板とも異なる連絡ツール。大学生の複雑な人間関係によるわずらわしさを解消したい。Twitterと比較して説明すると、全員には見られたくないツイートを限定的に行うことができるというものをそれに特化させ使いやすくしたもの、リアルタイムなやり取りも可能である。
 またGPSを用いたマッピング機能とリンクすることでお互いの位置の把握などを行うこともでき、待ち合わせなどの時にも使えるものとしたい。
 収入に関してはマッピング機能時の広告収入を考えている。

〈質問・意見・アドバイスなど〉
Sさん:既にあるのではないか?
小田:確認できる範囲ないでは存在しませんでした。あえて既存のもので例えるならばskypeに近いものを考えています。
Sさん:チャットではだめなのか?
Yさん:メーリスのチャット版という認識でニーズはあると思う。
Sさん:既に存在するもののオープンソースの組み合わせで作ることが可能ではないか?これだけで魅力的なアプリである。毎日コムネットなどが欲しがるかもしれない。
Sさん・Yさん:広告の必要性が感じられない。こういった企画を考える際に初めから無理に広告のことを考える必要はない。広告はそもそも人が集まっているところに出すものであるし、ニーズがあるならば利用者はその機能自体にお金をだす。
恵志:10年後SNSはどうなっていると思いますか?
Sさん:ネットを用いた時間の共有は行われ続けていると思う。ただしmixiのような固有名詞が残っているかは別。
Yさん:機能自体が特別でなくなった時に、それらの名称は消えているかもしれない。

2-4 稲川班「背中押しアプリ」
発表者(発表順):恵志・金子
【概要】
服選びなどの際に役立つ“リアルタイムアンケート”アプリ。服を想定した時のメインターゲットは若い女性。「どちらの色のコートがよいか?」と自分ひとりでは決めることができない時に“背中をおして”もらう。ユーザーは質問者にも回答者にもなり得る。スポンサー企業の商品や質問できる権利と交換することのできるポイントを回答者は得る事が出来る。こうすることで、回答の質を確保する。質問する際には、アプリ登録時に回答した情報を元に簡単なサンプリングも行う事ができる。(チャライ格好を好むユーザーを除いて質問など)
質問とスポンサー企業のアンケートとをセットにすることで、企業はデータを収集することができる。また広告にもなり得る。

〈質問・意見・アドバイスなど〉
Kさん:他人の意見を聞きたいという着眼は良い、しかしスポンサーがお金を払う根拠が不明確。仮にこのアプリがあったとして、スポンサー企業の服が売れるのか、そういった視点が甘い。また回答者の回答の動機はなんだろうか?
Yさん:こういったアプリにおいて動機を考えることも大切だが、動機=利益ではない。それは 教えてgoo などからもわかる。
Sさん:(発表の例を受けて)朝時間がない時にこのアプリを使う暇があるのか?
藤原:このアプリがある程度流行るとして、一定速度での返答が期待できると思います。
Sさん:この例を考えると、背中を押してほしいだけなら無理に投票制にする必要はないのではないか?例えば、誰か一人に「こっちの服!」と決めてもらえれば良い。
Yさん:その後で回答者のセンスを採点するような形で回答の質を上げていっても面白いかもしれない。
Kさん:アフターサービスとしてA社の商品を20着買ってくれた人には、そういったアドバイザーの意見を聞けるなどといった仕組みも考えられる。

3.総評、質問
・発表後、ゲストの方のお話と全体を通じての質問の時間を設けた。

Sさん:企画の核として、基本的には切実な「欲しい・したい」に答えることが大切である。

Q. プロジェクトなどの止めどきについて教えてください。今回の発表準備の段階で案の絞り込み、変更で苦労しました。
Kさん:何が求められているのか、それに応えられているのか冷静に考える。
Sさん:ある時点(間に合う限界)まではとにかく企画を拡げていく。また複数の企画は1 2 3のように順序づけるのではなく、本命・ジョーカー・・・・のように考える。
Yさん:先の話にもでたが、「欲しい・したい」といったことに基づく問題設定がとにかく重要である。もちろん実務では、それがとても難しいのだが。
Sさん:具体的な課題(問題設定)ができると、具体的な作戦ができる。「幸せになりたい」という漠然な問いよりも、「誰々と結婚したい」の方が具体的な作戦が思いつく。例えば「奥さんがいるなら離婚させる!」のようにね。

Q. アイディアを作る、企画を練るといった作業に適切な人数はいますか?
Sさん:その場で会って考えるのであれば5,6人。アイディアの持ちよりとなると少し変わる。最終的な段階では責任者が選ぶば良いが、アイディアを拡げる段階ではある程度人数がいた方が良い。また、アイディアの拡げ方にも手法はある。
Yさん:発想法の手法で例をだすならKJ法などがある。
Sさん:持ちよりでやった場合にはアイディアは被りにくい。
Yさん:その場でやると、意見への食いつきから、話(アイディア)が進む。
Sさん:また黒板などを使うと良い。
西林:樹形図でしょうか?
Sさん:それを用いる人もいる。別の例としては紙を用意して、一枚に1単語書いて張り付ける。この紙を動かしたりすることでアイディアが生まれることもある。

Q.企画に向いている人とはどのような人でしょうか?
Kさん:アイディアを貯められる引出の多い人。
Sさん:好奇心を持っていて、物事の良い所に目が行く人。広告とは物事の良いところを見つける仕事でもある。
Yさん:また物事の問題点、不満を見つけられるという人も大切。それは後ろ向きということでなく、そういった問題を人々に伝え説明できる人という意味であるが。

Q.一回のミーティングにかける時間はどの程度でしょうか?
Sさん:ケースバイケース。

Q.会議の結果などの情報の伝達はどのように行いますか?
Sさん:紙に書くという事が重要。PCだけに頼ることのないように。
Yさん:後は議事録の作製などが有効。

最後に
Yさん:とにかくやってみることが大切。
Sさん:このままの勢いで頑張って。
Kさん:発明というものの原点は“必要”である。このことを今後も考え続けるように。

以上
文担当:田邊班 荒井


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