about 江下ゼミ

ここで言及しているゼミとは、明治大学情報コミュニケーション学部において江下が担当する問題分析ゼミナールです。ゼミは非公開ですが、明治大学在学生にかぎり、見学を認める場合があります。席を確保する都合上、見学希望者は事前にかならず問い合わせてください。なお、通常のゼミ以外にも外部講師を招いた研究会を随時実施しています。こちらは外部に公開する場合があります。

連絡先:駿河台研究棟507号
江下研究室

おもなコンテンツ
  • ゼミの活動記録
  • グループ活動の成果
  • ゼミ生によるブックレビュー
  • ゼミ生の個人研究
  • 指導教員の研究報告
  • 外部講師の紹介
  • ゼミ関係のイベント報告
このコーナーについて
2008年度問題分析ゼミ
  • このコーナーに掲載されているコンテンツは、問題分析ゼミ(3年次対象)の活動報告が中心です。
  • 1年次対象の基礎ゼミ、2年次対象の問題発見ゼミに関する情報は、「sic info」コーナーに掲載します。
  • 当サイトに掲載されている文書・図版・写真等の著作権・肖像権・所有権等は、すべて正当な権利者が保有します。無断使用・無断転載をお断りします。

ゼミの活動
  • 前後期の定例ゼミ
  • 外部講師による研究会
  • ゼミ合宿
  • 企業研修
※ 定例ゼミ以外はすべて学生による自主的な参加を原則にしています。
問題分析ゼミのテーマ
研究領域
  • 社会ネットワークの解析
  • 近代社会のメディア史
  • 情報化の進展シナリオ
  • 情報メイブンの役割
  • 娯楽産業のイノベーション
  • 国民的アイドルの誕生と消滅
  • 大衆文化における雑誌の役割
  • チャットの歴史
  • 仮想社会の社会史
  • 少女文化の社会史
  • ヤフオクの消費行動

重点スキル
  • 文章読解・作成
  • プレゼンテーション
  • インタビュー調査
  • 質問紙調査

2013年05月27日

2013年度の問題分析ゼミ火曜グループ第6回の概要です。

日時:2013年5月21日(火)16:20~21:00
会場:5限 明治大学リバティタワー10階1102教室 6限1101教室
参加者:15名 江下、高橋、後藤班(5)、山田班(4)、橘班(5)
欠席者:1名
 
1 はじめに
・ゼミ協委員から、インターンシップについて説明。
・ゼミ協費来週5/28に1500円収集。
・橘班(岡部)前回輪読発表の補足説明
 
2 輪読
(1)山田グループ
課題本『ケータイ社会論』(岡田朋之/著、松田美左/編、有斐閣選書、2012)
発表者:伊藤、山口、武井
発表範囲:第10章、第11章、第12章
【概要】
第10章
普及率だけでは語れない流行の実態がある。流行の背景には「パラダイム・シフト」があり、当然のことと考えられていた認識や思想は劇的に変化していった。現代は「モビリティ・パラダイム」が「ながら文化」を生み、良くも悪くも受け入れられているという現状だ。ケータイは今後も流行を作っていくだろう。
第11章
ある社会のメディアはその社会そのものであり、メディアを比較することで立体的に理解することができる。中心周縁理論により、アメリカなどの中心国が韓国アフリカなどの国を搾取した。周縁国は豊かではないはずなのに、インフラを整備し、メディアの利用の普及により豊かになったのである。日本は独特のモバイル社会である。
第12章
ケータイはありきたりすぎて問題がわかりにくいという存在である。メディア環境には、親密空間を形成でき、選択的な人間関係を作ることができるので狭い領域に閉じこもりすぎるという問題が見える。システムや制度の問題もあるが、メディアリテラシーをより探求しワークショップの場をもうけることがこれからの未来に関わってくるだろう。
 
(2)後藤グループ
課題本『ネット評判社会』(山岸俊夫・吉開範章/著、エヌティティ出版、2009)
発表者:後藤
発表範囲:第5章
【発表の概要】安心社会では信頼が生まれにくく、人々は不安を持つ。社会的知性は簡単には手に入らないので、これに変わる適切な評判システムが求められている。これを生み出すためには、第一に、テクノロジーの進歩が不可欠だ。社会的地裁も機会費用も必要のない開かれた安心社会は、人類の将来を大きく左右するだろう。
 
(3)橘グループ
課題本『若者たちのコミュニケーション・サバイバル―親密さのゆくえ』(岩田考・菊池裕生・羽渕一代・苫米地伸/著、恒星社厚生閣、2006)
発表者:橘
発表範囲:第7章
【概要】かつては希薄であると思われたメディア上にも「親密で純粋な関係」が存在する。外見などの対面的なもので判断するのではなく、内面的な関係をつないだ満足感から生まれるものである。「複合現実社会」の到来により、今まで全く別のものだった、リアルとバーチャルは一直線上のものとなった。この社会が「関係性」を変化させ、影響を与えている。
 
3 ブックレビュー
・宋『子どもと性被害』(吉田タカコ、集英社新書、2001)
子供が身近な人から性被害を受ける事件が増えている。これまで「いたずら」などと表現されてきた行為が被害者にどんな深い傷をのこしたか。ホットラインなどにより、いかに防衛していくかが重要であり課題である。
・安藤『エルメス』(戸矢理衣奈、新潮新書、2004)

圧倒的な人気を得たエルメスはブランドとしてずっと順風満帆ではなかった。人気の背景には、斬新な広告や商品戦略があったのだ。伝統を守りながらも革新を続け、発展してきた。
・岡部『グーグル―既存のビジネスを破壊する―』(佐々木俊尚、文春新書、2006)

検索エンジン会社であるグーグル。今やテクノロジーを使って新聞社やつ通信企業などの巨大企業ビジネスを破壊している。巨大化したグーグルは私たちの生活を大きく左右している。
・勝又『友だち地獄』(土井隆義、ちくま新書、2008)
自分を肯定してくれる他者と関わりたいという傾向の若い世代。彼らは自分が何かに期待されているという感情を持てない。互いに傷つけない「優しい関係」が生きづらさを生んでいる。
・山田『バカの壁』(養老孟司、新潮新書、2003)
この世の中には一元論的なものが数多く存在している。社会に潜んでいる常識を常識と考えることで、すでに学ぶことを辞めている。そこに「バカの壁」ができる。二元論で考え、行動するべきである。
・武井『セクシィ・ギャルの大研究』(上野千鶴子、岩波現代文庫、2009)
広告の世界には性的なシンボルがちりばめられており、女の仕草を読み取るのは男である。昔は、女は弱いという構図を広告から読み取れた。しかし時代の変化により広告も変わった。時代ごとの人々の考えが広告からわかる。
・山口『近頃の若者はなぜダメなのか』(原田曜平、光文社新書、2010)
若者は空気を読む能力に優れている。ケータイの普及で人間関係の幅を広げたために一目を気にする。かつての村八分のように、若者は様々な村(関係)を持っている。新村社会だ。充実したネットワークをつくる必要がある。
・松村『「フェイスブック革命」の真実—ソーシャルネットワークは世界をいかに変えたか?―』(石川幸憲、アスキー新書、2012)
インターネットを媒介した人と人のつながりが社会を変革する力を持っている。

日米ネットワーキングの違いによりアメリカを土壌にしてこそ生まれたのだ。これが社会生活の歯車となっている。
・権藤『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(城繁幸、光文社新書、2006)
多くの人は現状に強い閉塞感を感じている。若者は固定観念に縛り付け、怯えさせる昭和的価値観を捨て、自分で道を決める自由に気づくことが求められている。「何のために働くのか」という動機を取り戻すことが大事である。
・佐久間『メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会―』(ノーム・チョムスキー、集英社新書、2003)
民主主義の組織的宣伝は大衆が誤った考えをしないようとする。情報アクセスは一部の人で厳重に管理しておかなければならない。偏った情報で正しいかどうかを決めており、思いも寄らない情報操作しているかもしれないからである。
・秋楽『分かち合いの経済学』(神野直彦・岩波新書、2010)
現在は所得に差があり、無くす為に新自由主義の成立が重要である。危機を克服するために、分かち合いの新しい経済システムの構築が急務だ。所得税を上げて、痛みや幸福をみんなで分かち合い、人間らしく生活できる社会を目指す。
 
4 反省、アドバイス
<語句説明>
一元的:軸が一本、特定の一つに注目する単純な見方
二元論:軸の組み合わせが大切な理論、視点が全く変わり順序付けできなくなる、それぞれの意味を考える必要がある
イノベーション=二元論的 byクリステンセン
イノベーションには四種類ある
○新市場―新技術:アーキテクチュアルイノベーション(航空技術)
○新市場―既存技術:企業化的イノベーション(ウォークマン)
○既存市場―新技術:革命的構築的イノベーション(コンパクトディスク)
○既存市場―既存技術:プロセスイノベーション(TOYOTA車)
 
<その他>
・ リアルの対義語はバーチャルではない
(リアル⇔イマジナリー、バーチャル⇔ノミナル)
・ 今回の授業の理解を深める為に「マトリックス」「電脳コイル」「攻殻機動隊」をみるとよい。
・ モバイルは、セルラフォン⇒ポータブルの名前が変化したもの。
 
以上
文担当:権藤
文編集:岡部


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