about 江下ゼミ
ここで言及しているゼミとは、明治大学情報コミュニケーション学部において江下が担当する問題分析ゼミナールです。ゼミは非公開ですが、明治大学在学生にかぎり、見学を認める場合があります。席を確保する都合上、見学希望者は事前にかならず問い合わせてください。なお、通常のゼミ以外にも外部講師を招いた研究会を随時実施しています。こちらは外部に公開する場合があります。
連絡先:駿河台研究棟507号
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2013年度の問題分析ゼミ火曜グループ第11回の概要です。
日時:2013年6月25日(木)16:00~20:00
会場:5限 明治大学リバティタワー10階1102教室 6限1101教室
参加者:15名 江下、高橋、後藤班(5)、山田班(5)、橘班(5)
1. 論文
(1)橘グループ
課題論文『青年期前期のメディア利用からみる友人関係―女子高生のプリクラ利用を中心に―』(岡部大介)
発表者:安藤
【概要】
青年期前期にあたる女子高生のプリクラ利用を質的調査し、プリクラが友人関係にどのように作用しているのかを検証した。その結果、共同的な記憶の蓄積、友人ネットワークの可視化、社会的ステイタス形成という3つの概念的カテゴリーが抽出され、プリクラを通して友人関係の構築や維持が行われているということがわかった。
(2)山田グループ
課題論文『「モバイルキット」に媒介された都市空間のパーソナライゼーション』
発表者:姫野
【概要】
モバイルキットは都市空間においてどのように利用されているのか。コクーニング、アーバンキャンピングによる私的空間の再構築、視覚的な情報の収集、消費活動に結び付いた足跡機能人々はモバイルキットを用いて都市空間を私的空間化している。
【補足】
PASMOなどの交通系ICカードが私的空間を形成するモバイルキットとしてどう機能しているか:個々人のデータとして自分の経済行動が形成されることで、自身の「テリトリー」が形成される。
(3)後藤グループ
課題論文『コミュニティにおける情報流通のスモールワールド現象―既存の社会インフラのハブ機能に着目して―』(大江宏子、樋口清秀、椎名達人)
発表者:佐久間
【概要】
社会インフラのフォーラム機会は地域の人々を結節する。ハブとして新たな人間関係を構築し、副次的効果も発生させる。社会インフラのさらなるネットワーク化、強化が望まれる。
【補足】
ここでいう副次的効果とは、寂寥感の緩和、地域への帰属意識、地域への愛着、自己意識の確認、自己表現、知力の運収である。
2.ブックレビュー
・権藤『「できる人」はどこがちがうのか』(斉藤孝 ちくま新書 2001)
「できる人」になるには3つの力が必要でそれは、貪欲に「うまい人」だけでなく未熟な人からも積極的に盗む(真似る)力、段取り力、さらにジグソーパズルの残りの1ピースを求めるようなコメント力(要約力、質問力)である。
・ソン『ナチスと映画』(飯田道子 中公新書 2008)
ナチスの映画を繰り返し見せることでナチスのイメージを形成していた。ナチス映画は記録映画であり、この記録映画はプロパガンダの方法として重要視されていた。
・岡部『パラサイト社会のゆくえ』(山田昌弘 ちくま新書 2004)
「パラサイト・シングル」とは、親と同居しリッチな生活を送る独身者のことである。現在、定職に就きにくい労働状況キャリア形成を怠った結果「パラサイト・シングルの不良債権化」が懸念される。そのために社会的な対策が必要となるだろう。
・橘『宇宙に外側はあるのか』(松原 隆彦 光文社新書 2012)
漠然としたイメージしか持つことができない宇宙。始まりがあるとしたら、その「始まり」以前はどうなっていたのか。なにを持って宇宙が存在しているといえるのか。宇宙は、異なる理論においても存在可能性がある。
・勝又『悩む力』(姜尚中 集英社新書 2008)
共同体が解体され、「個人」として生きていくことを余儀なくされた現代人は、自分自身でその「生きる意味」を模索し、獲得しなければいけなくなった。真面目に悩み抜き、悩みの果てに突き抜けることで横着になることが必要である。
・『女の身体の愛しいところ』(龍多美子 知恵の森文庫 2005)
筆者が女らしくあろうとして行きつく先が下着であった。下着への考え方が規格に縛られていているので、自分を好きになるための下着を探すことが必要である。女性という性を追求し、時には決断を直感に頼り、本能での決定をした方が良いのではないか。
・武井『テレビ局の裏側』(中川勇樹 新潮新書 2009)
番組の内容改ざんが行われる。より「おもしろく」「視聴率を取りたい」という考えが原因で、正確さよりもおもしろさを優先するという実態がある。「孫請け構造」によって制作費や製作時間の削減が行われ、結果改ざんにつながる。テレビ局は視聴者に真剣に向き合う必要がある。
・山田『ジャーナリズムの思想』(原寿雄 岩波新書 1997)
日本のジャーナリズムには問題が多い。「商業主義」「八方美人」な中立であることを目指すような報道が行われている。集団倫理が重要視され、企業優先になっている中でジャーナリスト自身の主体性の確立が重要となってくる。そのためにはジャーナリストを読み手が評価するシステムが必要である。
・伊藤『不平等社会日本』(斉藤俊樹 中公新書 2000)
「日本は努力すればなんとかなる」という社会なのか?エリートの子はエリートになれることが当たり前だと考えていて、目的意識が伴いにくく、「エリート」続けるということが目的になってしまう。誰もがエリートになることができる「可能性の平等」が真の平等につながる。
・松村『聞く力』(阿川佐和子 文春新書 2012)
どのような態度をとれば話し手が話しやすいのか。聞き上手とは突っ込み上手のことではない。話し手に話したいと思わせることが重要である。質問を3つに絞り、分野に分けて大体のまとまりを決めておくことで集中して聞くことができる。そして会話の幅を広げるチャンスを逃さないことで、話し手の「掘り出し物」を引き当てることが可能となる。
・後藤『メジャーリーグのWBC世界戦略』(古内 義明 PHP新書 2009)
球場までわざわざ人々が足を運ばなくなり、来場客数が低下した。このことから、新たなビジネスモデルを構築することが計画され、食べ飲み放題の制度を設けるなど、負荷の楽しみを用意し、球場の「テーマパーク化」が行われた。
【補足】
キ―季節 タ―旅 セ―セックス
ド―道路、道楽 テ―天気 シ―親戚、仕事、宗教
ニ―ニュース カ―家族 衣食住
ケ―健康
これらのネタを教養、雑学としてためておくことが会話を弾ませることにつながる。
四苦(生老病死)八苦(愛別離苦、怨憎会苦)
守―師の教えを守ること
破―その教えを破ること
離―独自の境地を作り、師の教えを守ること
いかなるクリエイティブな人間もものまねから始める。「型」があるからこそ、「型破り」ができる。その先に独自の境地があるのであり、まずは型を覚えることが必要。
文担当:勝又
分編集:岡部
以上
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