2010年度の問題分析ゼミナール第4回の概要です
日時:2010年5月11日(火)16:20~20:00
会場:明治大学リバティータワー6階 1061教室
参加者:全21名
江下、田邊G(5名)、稲川G(5名)、西林G(5名)、内木G(5名)
欠席者:なし
・輪講
1.田邊グループ発表
発表者:肌附
課題図書:『噂の研究』(ハンス=ヨアヒム ノイバウアー/著、青土社、1999年)
発表範囲:第三章「民衆の声と、風説の間隙」
【概要】
風説は誰かが語るものだが、誰が語っているのか誰も知らないという原理を持つ。ルネサンス期において噂の象徴「ファーマ」は二つの原理に分離されていく。すなわち噂の危険な側面としての「民衆の声」と喜ばしい側面としての「名声」である。また噂、風説というものは歴史的にはアレゴリーやイコノグラフィーとして表現されてきた歴史を持っている。
2.稲川グループ発表
発表者:恵志
課題図書:『うわさ』(ジャン・ノエル・カプフェレ/著 吉田幸男/訳、法政大学出版局、1988年)
発表範囲:第2部「うわさの解釈」
【概要】
集団内におけるうわさの役割とは、集団に満足感を与える価値(黒い情報価値)を醸成し、満場一致を作りだすことにある。うわさの伝播の速度や内容の正確さというのは、個人の感情的、理性的心情によって変化するものである。そして、うわさはそれ自身に二面性を持っており、裏を読むことでうわさが自文化を守っているという側面も見えてくる。
3.西林グループ発表
発表者:井上
課題図書:『流言の社会学』(早川 洋行/著、青弓社、2002年)
発表範囲:第三章「流言の変容と心理」、第四章「都市の中の流言」
【概要】
流言には、伝達過程において流言をより信じさせるための「体系化」、興味をそそらせるための誇張としての「過激化」、必要のない情報を削っていく「脱落」、という3つの変容パターンがある。人々の「不安」や、安心から生まれる「飽き」という心理は、緊張状態からのカタルシスとして流言の発生を促進する。また都市部における流言は、こうした「不安」「倦怠」という都市心理を原因として特に多く発生する傾向がある。
4.内木グループ発表
発表者:羽石
課題図書:『うわさが走る』(川上善朗/著、サイエンス社、1997年)
発表範囲:第三章
【概要】
おしゃべりとしての噂=ゴシップは、会話内におけるその場の意見としてパーソナルな内容が語られやすい。ゴシップの話される動機として、意図的なプロパガンダや攻撃感情、自己衝動の投射といった、いくつかの悪意による動機が存在する。またゴシップの集団内に対する機能は、暗黙の了解(ゴシップを知っている事)としてグループ内に規範を生みだす事、その了解によってグループを内外で分割し社会的境界線を形成する事などがある。
発表総評:
・ある部分は速く、ある部分はゆっくりというように、話すテンポを一定にしないことで発表に山場を作る。
・立っている時は手の平を見せておくことで、見ている人に何も隠していないというアピールを行う。「手の平で目の前を押す」というジェスチャーが有効的。
以上
文担当:田邊班 小田