2011年度の問題分析ゼミ第10回の概要です。
日時:2011年7月5日(火) 16:20~19:50
会場:明治大学リバティタワー8階1081教室
参加者:19名 江下、高橋G(5)、小玉G(5)、荻野G(5)、松井G(5)
欠席者:1名
1 連絡事項 合宿の夜レクについて
「花火」か「天体観測」を検討。
2 連絡事項 合宿の開会式レクについて
「クイズ」を検討。4択クイズの募集。
3 夏合宿の発表テーマについて(暫定)
小玉班 東日本大震災から見るソーシャルメディアの利用
上松班 木更津のブランディング
高橋班 ジャーナリズムにおける"語り"の問題点
4 輪講 (1) 小玉班の発表
課題本:山中茂樹『震災とメディア―復興報道の視点 』(世界思想社)
発表者1:吉田 第4章 災害文化
【概要】
有珠山噴火において、東西のメディアでは危険の切迫度に差異があった。復興に向けた課題についても、東のメディアは安全優先か住民の意思優先か、西のメディアは収入途絶や事業ストップを危惧、と違いが見られる。東には道具的文化に基づいた災害文化が、西には表現的文化に基づいた災害文化があり、阪神大震災では表現的文化が芽生えた。
発表者2:中村 第5章 主体報道/第6章 メディアスクラム
【概要】
被災報道の面においては、中心部ではなくその周辺がいかに動けるかが重要である。また、報道者は客観立場を貫くだけでなく、主体報道を行うべき局面が存在している。マスメディアが求められていることは節度を守り、防災機関になろうとも国からの情報操作を受けず報道をおこなうことである。
発表者3:吉田 第7章 復興十年の視点
【概要】
有珠山報道ではエンベッド方式が採用されたが、これには利点と欠点が存在していた。また、災害支援においては個人の再起に関する税金投入の論争や、災害復興基本法制定における諸問題がある。都市化は災害を進化させるという教訓を元に、地域社会が正常に機能する復興社会を目標にする必要がある。
(2)髙橋班の発表
「和歌山毒物カレー事件」と報道についての調査
発表者1:杉野 和歌山毒物カレー事件についての概要
【概要】
1998年に7月25日、和歌山市園部で催された夏祭りでカレーライスを食べた4人が死亡する事件が起こった。原因は砒素化合物の亜ヒ酸であった。10月4日林真須美が殺人未遂と詐欺の容疑で逮捕された。2009年4月21日、犯行を直接裏付ける証拠がない中で状況証拠によって有罪と認定され、死刑が確定することになった。
発表者2:林 先行研究
【概要】
和歌山毒物カレー事件の報道にはいくつもの問題が見られた。別件有罪視・悪人視報道、集団的過熱取材に代表される報道倫理問題、メディアは権力監視ではなく犯人探しに躍起になっていた。状況証拠としてのテープ利用は、報道と権力の一体化を招き、報道の自由・知る権利が損なわれることが危惧された。また構成されたテレビ報道は、林真須美を「犯人」と世間にイメージ付けるものであった。
発表者3:鈴木 先行研究
【概要】
商業的利益を追求するあまり、メディアはカレー事件の飛ばし記事、誤認記事を多発した。またカレー事件におけるメディアスクラムは、裁判長が苦言を呈するほどであった。そしてカレー事件から派生した事件も発生していく。真須美に対しての判決は、メディアが作った世論の声が影響しているのではないかという疑問が残る。一歩立ち止まり、メディアの報道のあり方を検証する姿勢が必要ではないか。
(3)上松班の発表
課題本:和田充夫ほか『地域ブランド・マネジメント』(有斐閣)
発表者1:高峯 第5章 ゾーニング戦略/第6章 コミュニケーション戦略
【概要】
行政単位に基づかない地域ブランドを構築し、戦略的ゾーニングにより体験価値の創造をしていく。歴史から掘り起こされるブランド資産が発見できるのである。人々を呼ぶコミュニケーション戦略も重要で、これにより地域を発信していく。そしてウェブなどメディアを活用し、より深い情報提供をしてさらに地域を活性化させていく。
発表者2:渡辺 第7章 アクター戦略
【概要】
地域ブランディングには、地域ブランドを構築・維持する担い手「アクター」のマーケティングが重要で、人々や組織が自発的に参画することがキーポイントとなる。的確なキーアクターを選出し、地域ブランドの目的別なアプローチも必要になる。
発表者3:江草 第8章 地域ブランド創造の新時代
【概要】
近年企業ブランドの重要性が増している。その背景には企業と社会との関係の高まりがある。企業ブランドの構築にはCSRは不可欠な視点となっていて、企業の地域に対する関わりにおいて重要である。企業と地域の関わり方は双方向的な貢献であるのが望ましく、互恵関係に基づき地域ブランドを構築していくことを目標にする。
5 サブゼミ 業界新聞発表 発表者:松井、上松、鳥丸、荻野、秋元、高橋、嶋田、中澤、小玉
以上
文担当 鈴木
編集担当 書記 秋元