2012年度:問題分析ゼミ[2]

2012年度問題分析ゼミナール第2回の概要です。

日時:2012年4月17日(火)16:20~20:30
会場:明治大学リバティタワー9階1098教室
参加者:22名 江下、高橋、舘G(5)、中村G(5)、政岡G(5)、神谷G(5)
欠席者:0名

1.レポートの書き方について

2.輪読(先週分)
(4)中村グループ
課題本『輿論と世論』(佐藤卓己、新潮選書、2008)
発表者:川島
【概要】
・輿論は責任ある意見、世論は空気である。
・戦後のマスコミュニケーションと戦時中のプロパガンダには連続性がある。

3.ブックレビュー
・下山
『グーグルに意義あり』(明石昇二郎、集英社新書、2010)
グーグルのサービスと著作権侵の一連の流れ
・神谷
『なぜあの人は人望を集めるのか』(近藤勝重、幻冬舎新書、2008)
人望のある人が日常をどう過ごしているか
・渡辺香
『アメリカのジャーナリズム』(藤田博司、岩波新書、1911)
アメリカのメディアの多様性とアメリカ政府の情報操作
・今村
『ラテンに学ぶ幸せな生き方』(八木啓代、講談社プラスアルファ新書、2010)
ラテンの人が幸せを感じるのは生活の主軸に家族、友人があるからである
・小森
『日本人だけが知らない日本人のうわさ』(石井光太、光文社新書、2010)
噂の定義と噂になる人には潜在的に噂になる原因がある
・舘
『報道被害』(梓澤和幸、岩波新書、2007)
報道メディアによって被る人権被害の原因と対策
・テイ
『「若者はかわいそう」論のウソ』(海老原嗣生、扶桑社新書、2010)
若者のかわいそう論を強調することによる偏りと若者の現状
・上田
『ネットいじめ』(萩上チキ、PHP新書、2008)
インターネット世代のいじめと、いじめとインターネットの関係性
・中川
『報道災害』(上杉隆、幻冬舎新書、2011
3.11の原発問題について対談方式で書かれている
・兼子
『友だち地獄』(土井隆義、ちくま新書、2008)
若者の生きづらさと優しい関係という対立回避の関係性にある
・安西
『市民の政治学』(篠原一、岩波新書、2004
歴史背景から見る社会運動の変化
・加藤
『アーカイブズが社会を変える』(松岡資明、平凡社新書、2011)
情報の基盤である公文書の保存と日本の社会を変えるアーカイブズ
・佐藤
『ウィキリークス以後の日本』(上杉隆、光文社新書、2011)
ネットの力による情報開示とアメリカの例
・中村
『ブランドの条件』(山田登世子、岩波新書、2006)
ルイヴィトン、エルメス、シャネルの誕生の起源と発展の方法
・渡辺千
『ボランティア もうひとつの情報社会』(金子郁容、岩波新書、1992)
ボランティアも情報社会も傷つけられやすい点で同じである
・湯浅
『ジャーナリズムの可能性』(原寿雄、岩波新書、2009)
北海道県警の裏金事件時のジャーナリズムといった例からジャーナリズムの基本をみる

補足
・アメリカのジャーナリズム
ベトナム戦争で政府が批判を受けたことによって、湾岸戦争の報道を政府がコントロールした。
・アメリカのメディア問題
テレビ業界が特定の大金持ちに支配されている。新聞も全国紙は2誌であり、その他は地方紙で広告収入に頼っているため基盤が弱い。今の報道は大学内で調査したことを売るといった形をとっている。

4.輪読
(1)舘グループ
課題本『ジャーナリズムの社会学』(B・マクネア、リベルタ出版、2006)
発表者:上田
発表範囲:第3章
【概要】
ジャーナリズムの状態、情報の質、メディアの受容環境、メディアによって促された行動に対する理性的な抑制によってジャーナリズムが影響する度合いが変化する。
・個人に対するジャーナリズムの効果
アジェンダセッティング、人の心の奥にある差別などの思いに影響を与えるイデオロギー的効果
・組織に対するジャーナリズムの効果
人々にとってメディアは重要な情報源であるので、政治家や公的機関によって利用される

(2)政岡グループ
課題本『現代ジャーナリズムを学ぶ人のために』(大井眞二・田村紀雄・林利隆、世界思想社、2004)
発表者:中川
発表範囲:第6章~第9章
【概要】
・ニュース・テクストの規則と特異性
3C、5W1Hや逆三角形のテクストといったニュース・テクストがわかりやすくあるための規則や客観報道をするための「無署名性」などといった特異性‐ピングの観点から受け手に提示する社会的現実の特質
情報の取捨選択が行われている
・ニュースソースとメディアとの関係性に着目し、ニュースソースの側からの解説
ニュースソースが少ないためにメディアに対して力をもつようになったので、報道する側が自由な視点でニュースの意味づけができていない
・ジャーナリズムの特性について、ジャーナリストの条件の側面から考える
日本は企業の都合優先の企業ジャーナリズムと呼ばれ批判されており、アメリカは社会貢献するためにプロフェッショナル論を唱え、自らの職業を改善し続けてきた

(3)神谷グループ
『変容するメディアとニュース報道』(萩原滋・斉藤慎一・李光稿・横山滋・川端美樹・福田充、丸善、2001)
発表者:神谷
発表範囲:第2章~第4章
【概要】
・テレビと新聞との比較
テレビの映像ビジネスはSHOWビジネスと相性がよく、報道とSYOWビジネスを合体させた。
・ニュース報道の内容のソフト化の傾向、形式の演出過剰の傾向からの娯楽化
NHKのニュースはニュース性が高くハードニュースであり、忍法はテロップや音響効果によってニュース性が低くなりソフトニュースといわれる。

(4)中村グループ
課題本『輿論と世論』(佐藤卓己、新潮社選書、2008)
発表者:佐藤
発表範囲:第3章、第4章
【概要】
・世論調査と戦時宣伝との連続性
世論調査によって大衆の空気をつくるので、戦時宣伝と連続している。
・終戦記念日の制定における輿論と世論
終戦記念日はお盆と重なっているが、政治的で理性的な終戦記念日と宗教的で感情的世論のお盆が重なることで輿論の世論化が起こった。

5.反省
・レポートに関しての知識が不足していたので、これからは細部まで気にしていこうと思った。
・抑揚をつけて話すのは難しい。どうしても紙を読んだような読み方になってしまう。

以上

文担当:川島 
文編集:上田