2012年度:問題分析ゼミ[3]

2012年度の問題分析ゼミ第3回の概要です。

日時:2010年4月24日(火)16:20〜20:30 

会場:明治大学リバティタワー9階1098教室 

参加者:全21名  江下、高橋、舘班G(5)、中村G(5)、政岡G(5)、神谷G(5)
欠席者:0名

1 はじめに
1)ゼミ合宿の日程は8月8日(水)〜10日(金)
2)ゼミ合宿の内容
・インカレ担当の中村、政岡以外は3つのグループに分かれて発表する。
・テーマはジャーナリズム、地域、スポーツの予定。
・前期ゼミのラスト約3回は、これを行う。
・予算は2万以内の見込み。
3)次の輪読本の説明

2 ブックレビュー第2回目
・湯浅
『ジャーナリズムの思想』(原寿雄、岩波新書、1997)
 ジャーナリズムの基本が載った教科書のような一冊。
・川島
『未来をつくる図書館』(菅谷明子、岩波新書、2003)
 NYと日本の事例を比較し、図書館の役割や可能性について論じる。
・渡辺
『現代社会の理論』(見田宗介、岩波新書、1996)
 消費社会論を切り口に社会論を考える。悪文だが一読の価値あり。
・中村
『エルメス』(戸谷理衣奈、新潮新書、2004)
 エルメスがファッション界で成功をおさめるまでの歴史。
・加藤
『マンガはなぜ規制されるのか』(長岡義幸、平凡社新書、2010)
 マンガ規制の歴史から、表現の自由や若者の権利について論じる。
・安西
『少子社会日本』(山田昌弘、岩波新書、2007)
 少子社会の背景や、多くの問題を抱える現状について述べている。
・兼子
『いじめの構造』(内藤朝雄、講談社現代新書、2009)
 いじめの構造を社会学的な視点から論じている。
・程
『若者が「社会的弱者」に転落する』(宮本みち子、洋泉社新書、2002)
 NEETや大人になれない子どもなどさまざまな視点から、若者が社会的に弱者であると論じる。
・舘
『犯罪被害者』(河原理子、平凡社新書、1999)
 実際に起こった事例を挙げながら、報道により被害を被った犯罪被害者支援を考える。
・小森
『安心社会から信頼社会へ』(山岸俊男、中公新書、1999)
 社会的ネットワークについて、安心と信頼という視点から分析する。
・青柳
『「世間」とは何か』(阿部謹也、講談社現代新書、1995)
 世間の意味や日本の特性を、古文などから探る。
・今村
『モードとエロスと資本』(中野香織、集英社新書、2010)
ファストファッションなどの最近のファッションに見られる美意識の変化について述べている。
・渡辺
『ネット犯罪から子どもを守る』(唯野司、マイコミ新書、2006)
 ネット犯罪に巻き込まれた子どもの事例から、子どもとネットの関係を考える。
・下山
『新聞消滅大陸アメリカ』(鈴木信元、幻冬舎新書、2010)
 次々に倒産するアメリカの新聞社の現状を伝えている。
・大西『ツイッター社会論』(津田大介、洋泉社、2009)
 Twitterの有名人である津田大介自身が、Twitterの効能について説明する。

3 輪講
(1)舘グループ
課題本『ジャーナリズムの社会学』(B・マクネア/著、リベルタ出版、2006)
発表者:小森
発表範囲:第4章、第5章
【発表の概要】
・ジャーナリズムは専門職能である以上、倫理規範をもつ必要がある。真実を伝える責任を負うジャーナリズムにおける倫理規範は客観性をもつことである。しかし、客観性に関しては文化相対主義者による批判もあり、あえて主観的に報道するニュージャーナリズム等も登場している。また、メディアと政治環境は密接な関係にあり、メディアは政治環境によって圧力や統制を受けている。

(2)政岡グループ
課題本『現代ジャーナリズムを学ぶ人のために』(大井眞二・田村紀雄・林利隆/著、世界思想社、2004)
発表者:安西
発表範囲:第10章〜第12章
【発表の概要】
・インターネットの普及によりオンライン・ジャーナリズムが登場した。ジャーナリストだけでなく個人が情報を発信できる今日、ジャーナリズムを再定義する必要がある。そして、それにともないグローバル・ジャーナリズムが注目されるようになった。本当にグローバルなジャーナリズムを行うためには、グローバルという単一の視点を持たねばならない。
・小型カメラの発達によりVJが活躍するようになった。VJはこれからのメディアを担っていく存在として期待されている。

(3)神谷グループ
課題本『変容するメディアとニュース報道』(萩原滋・斎藤慎一・李光稿・横山滋・川端美樹・福田充/著、丸善、2001)
発表者:渡辺
発表範囲:第5章、第6章
【発表の概要】
・テレビにおける選挙報道の特質は、報道が特定の日に集中すること、局・番組ごとに役割が分化されていること、新聞と違い公平性が重視されていることが挙げられる。
・新聞やテレビの情報の提示方法はそれぞれ異なるが、見出しやテロップ、BGMやカット、スピード等、視覚や聴覚に訴える提示方法は、受け手の認知に大きく影響する。

(4)中村グループ
課題本『輿論と世論』(佐藤卓己/著、新潮社、2008)
発表者:中村
発表範囲:第5章〜第7章
【発表の概要】
・55年体制崩壊により、憲法改正は現実化した。輿論の世論化が加速している中で憲法改正が行われるには、理性的判断(輿論)が必要となる。日米安全保障条約改正時、全国的な抗議運動が勃発し、世論調査は「声なき声を顕在化」させるものとなった。「声なき声」は多数決原理の民主主義において無視できない存在である。
・東京オリンピックでは、国家と国民の間に温度差があったが、テレビによって伝えられる日本選手の活躍に国民は歓喜した。オリンピックが民族精神復活の一助になったことで、新聞の輿論はテレビの世論に破れた。

4 反省、アドバイス
・レジュメは、単に内容を要約するのではなく、理解したことを自分の言葉で表現する。
・オムニバス形式の本のレジュメを書く場合、全体のテーマを考え、それぞれのオムニバスの要点をつまみだして作成する。
・ジャーナリズムの職業倫理について、とても難しい問題ではあるが向き合っていかなければならない問題である。

文担当:加藤
編集:上田