2013年度の問題分析ゼミ月曜グループ第13回の概要です。
日時:2013年7月15日(月)16:20~20:30
会場:5限 明治大学リバティタワー10階1102教室 6限1101教室
参加者:17名 江下、高橋、ソーシャルメディアG(5)、地域ブランディングG(5)、ファッションG(5)
欠席者:0名
1 インカレ合宿の研究テーマ決定
ソーシャルメディアグループ
基本テキスト: 『デモのメディア論──社会運動社会のゆくえ』(伊藤昌亮、筑摩書房、2012)/『インターコミュニケーション』(大向一輝、NTT出版、2007)/『フェイスブック・インパクト──つながりが変える企業戦略』(高広伯彦、宣伝会議、2011)
発表者:紀井
発表範囲:研究テーマ
【テーマ報告】
暫定テーマは「2ちゃんねるまとめサイトが世論に与える影響」。twitterなどのSNSのほかに、現在若者の間で流行している「2ちゃんねる」や「まとめサイト」どのように世論に影響を与えているのかを調べたい。また、マスメディアの情報とSNSの情報の違いにも興味がある。
【アドバイス】
・世論といえどのひとつの具体的な時事問題に絞らないと調査が困難である。
→東日本大震災により起きた原発事故の海水注入問題に注目してはどうか。 安部元首相の海水注入の判断に対するマスメディアの反応とtwitterの反応をみると関連がつかめるかもしれない。
・twitterは個人の意見に注目した調査が困難である。したがってRT数や関連するtweet総数をみるなどの量的調査が望ましい。
→例えば「海水」「注入」などの検索ワードで検索した場合、否定的な意見や肯定的な意見が混ざって検出される。また、RTもどういう意図でRTしたのか判断しかねる。
地域ブランドグループ
基本テキスト:『地域ブランド・マネジメント 地域の持続的発展へ向けて』(電通abic project編、有斐閣、2009)
発表者:鈴木
発表範囲:研究テーマ
【テーマ報告】
暫定テーマは「群馬県のブランディング」。群馬県は日経リサーチ都道府県ブランド力調査で最下位を経験している。その原因は群馬県自体のアイデンティティが知られていないためであると考えた。「北海道=広大な大地」「京都=はんなりした古都」のように「群馬=○○」を提案したい。
【アドバイス】
・群馬県のブレインストーミングをして、アイデンティティを抽出する作業を行うべき。
・県全体でブランディングをするなら「住みたい」以外の着地点を目指した方が良い。
→課題図書では、地域に訪れる人びとが「住みたい」と思えることを目標にブランディングしている。「住みたい」を着地点としたとき、群馬県という県単位ではブランディングしにくい。なぜなら、県内でも地域ごとに異なる特色を持っているため「住みたい」には結びつきにくいためである。
ファッショングループ
基本テキスト:『日常からの文化社会学 私らしさの神話』(河原和枝、世界思想社、2005)
発表者:竹島
発表範囲:研究テーマ
【テーマ報告】
暫定テーマは「女子大生のファッションは画一化しているのか」。都内の大学を中心に調査をし、大学ごとに女子大生のファッションに偏りがあるのか調べる。
【アドバイス】
・「画一化」とは何をもって「同じ」とみなすのか判断基準をもうけた方が良い。
→コーディネートが同じであるのか、身に着けているアイテムが同じであるのか、読んでいる雑誌が同じなのか、買い物をする場所が同じであるのか、「同じ」の判断基準を明確にすること。その際判断基準は発表内容に盛り込むこと。
・昔の女子大生のファッションと今ではどのように違うのかも発表内容に入れるとよい。
2 ブックレビュー
・鈴木
『武器としての決断思考』(瀧本哲史/著、星海社新書、2011)
流れの速い社会においては「正解」はないので、知識を持ったまま立ちすくむのではなくディベート思考を持って判断・行動することが大切である。
・遠藤
『夫婦格差社会』(橘木俊詔、迫田さやか/著、中公新書、2013)
女性が夫の所得に関係なく働くようになった現代社会では、夫婦の格差を広げる主な要因は女性にあると言える。
・亀ヶ谷
『大型店とまちづくり―規制の進むアメリカ、模索する日本―』(矢作弘/著、岩波新書、2005)
現在日本では、郊外に大型店商業施設が次々と建設され地域の商店街が衰退している。これを解決するには、地域循環型経済を形成する必要がある。
・山中
『テレビ局の裏側』(中川勇樹/著、新潮新書、2009)
現在のテレビにみられる視聴率至上主義は、視聴者離れとスポンサー離れを加速させた。そうした状況を打破するためには、邦画やアニメをテレビへ参入させるといった「放送外収入」が重要である。
・紀伊
『オタクはすでに死んでいる』(岡田斗司夫/著、新潮新書、2008)
萌えと自分を愛するオタク第3世代の登場により、作品自体を純粋に愛するオタク第1世代と第2世代は過去のものとなっていった。
・石原
『会社資本主義は崩れるか』(奥村宏/著、1992)
会社本位主義を人間資本主義にすることで人が人のために働く社会がつくれる。
・吉田
『Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流』(津田大介/著、2009)
Twitterが広く支持を受けているのはリアルタイム性という特徴に加えて「属人性」というキーワードに注目すべきである。
・上杉
『ルポ若者ホームレス』(飯島裕子/著、ちくま新書、2011)
近年、若年層で家や仕事を持たない若者ホームレスが急増している。この問題を解決するためには長期的な支援が必要である。
・田辺
『ルポ賃金差別』(竹信三恵子/著、ちくま新書、2010)
現在、被災地を含め社会全体で長期的に働ける安定した雇用形態が求められている。
・三宅
『ことばと力学―応用言語学への招待―』(白井康弘/著、岩波新書、2013)
ことばは無意識のうちに人間の行動を左右する。標準語と方言、英語と現地語など複数の言語が関わる状況では優劣を生み出す無意識の力学がはたらく。
・三宅(二つ目)
『リスクに背を向ける日本人』(山岸俊夫、メアリー・C・ブリントン/著、講談社現代新書、2010)
日本人にみられるリスクを避ける安全志向な傾向や「場」に帰属しすぎる性質は、日本の社会制度や社会の風潮を原因としている。
・リュ
『市民社会とは何か―基本概念の系譜―』(植村邦彦/著、平凡社新書)
市民社会論は多くの種類があるが、政治学においては国家と市民社会が同様で用いられている。
以上
文担当:古神
文編集:遠藤