2017年度:問題分析ゼミ[4]

2017年度の問題分析ゼミ第4回の議事録です。

日時: 2017年 5月9日(火) 15:20〜21:00
会場: 明治大学リバティータワー13階 1131教室
参加者:16名
江下、高橋、鈴木グループ(5)上杉グループ(4)西村グループ(3)乗岡グループ(4)
欠席者:5名

1. グループ発表
(1)西村グループ
発表者:唐澤 福田
課題本:『族の系譜学』(難波功士、青弓社、2007年)
発表の範囲: 8章「クリスタル族」9章「おたく族からオタクへ」
【発表の概要】
クリスタル族は女子大生がメインの遊び人文化であり、主な担い手は新人類世代のJJガールであった。消費という行動が上位階級を示し、それがアイデンティティとなった。そして、ユースサブカルのアドホック化からファッションによる派閥ができ、都市空間がカタログ化された。
おたく族は1983年に顕在化した。小太りで七三分けが典型的なスタイルであり、大衆とは異なる特有のコミュニケーションを成立した。ネットの普及に伴い対面的な関わり等を失った結果、おたく族は様々な世代向けの要素としての「オタク」へと変化していった。
 
(2)乗岡グループ
発表者: 乗岡 中新田
課題本:『雑誌メディアの文化史〜変貌する戦後のパラダイム』(吉田則明・岡田章子著、森話社、2012年)
発表の範囲: Ⅱ 越境する雑誌メディア『popeye』、『日本文摘』
【発表の概要】
新しいアメリカの若者文化を紹介した『popeye』であるが、コラムマガジンから恋愛、都市生活のマニュアル誌へと変化していった。日本の若者における内なるアメリカとは、消費文化以外のアメリカを脱色し、差異化の競争によって高い水準で一般化した消費とレジャーのマインドであった。
『日本文摘』は台湾ナショナリズムと消費社会を背景に1986年に創刊され、日本型の近代化を学ぶツールとなった。政論雑誌化や大衆化、娯楽化などの理由から廃刊となったが、『日本文摘』は台湾のアイデンティティ構築と近代化の一端を担った。
 
(3)鈴木グループ
発表者: 谷川 鈴木
課題本:『青年と雑誌の黄金時代』(佐藤卓己 著 岩波書店、2015)
発表の範囲: 第五章 『ぴあ』、第六章 『ロードショー』
【発表の概要】
1972年に創刊された『ぴあ』は、映画・演劇・コンサートなどの上演情報が掲載された総合情報誌である。網羅性と俯瞰性から80年代に全盛期を迎え、90年代のインターネットの普及のなかでも存続した。しかし、技術の進歩や青年の情報欲求の変化の影響から2011年に休刊となった。
1972年に創刊された映画雑誌『ロードショー』は10代〜20代の若者を中心にブームとなった。読者欄では公共空間が生まれ、読者は「前宣伝」や映画鑑賞の代替行為、スターに関する情報収集として読んでいた。しかし、80年代になると読者欄に路線転換が見られたことや、メディア環境の発達から休刊へ追い込まれた。
 
(4)上杉グループ『『平凡』の時代』
発表者: 上杉 横山
課題本:『『平凡』の時代』(阪本博志 著、昭和堂、2008)
発表の範囲: 第三章「休刊にいたる途」
【発表の概要】
テレビの普及が娯楽月刊誌の衰退をもたらした結果、「『平凡』の時代」は1959年に終焉を迎えた。『平凡』は大衆娯楽雑誌からアイドル誌へと転換し、1970年代前半に第二の躍進期を迎えた。しかし、読者層の変化や集英社『明星』の戦略、テレビの普及などの背景から1987年に『平凡』は休刊に至った。
 
2.反省
発表する際には、それが他の要因とどのように絡み合っているのかを考えるために、時代状況をはっきりさせる。その雑誌がいつ頃に生まれた世代の人たちのいつ頃の文化なのか、など関連性を見ることが重要である。
先生の考える、聞かなければならない質問がなかなか出なかった。発表をよく聞きよく考察することが大切である。
 
以上
 
文章担当:乗岡グループ 井上
編集担当:上杉