2017年度:問題分析ゼミ[5]

2017年度の問題分析ゼミ第6回の議事録です。

日時:2017年5月23日(火)15:20~20:00
場所:明治大学リバティタワー13階1131教室
参加者:20名
江下、高橋、鈴木G(4)、上杉G(5)、西村G(4)、乗岡G(5)
欠席者:2名
早退者:1名

1. 輪読
(1)鈴木グループ
発表者:谷川、松田
課題本:『青年と雑誌の黄金時代』(佐藤卓己 著 岩波書店、2015)
発表の範囲:第7章『ロッキング・オン』、第10章『ファミマガ』『ファミ通』『電撃PlayStation』ゲーム雑誌の総合性
【発表の概要】
第7章:1972年に創刊された『ロッキング・オン』は、"ほぼ"全面投稿誌であった。「自分語り」や「架空インタビュー」の記事により、読者や投稿者の間に精神的な「つながり」を形成し人気を得るが、情報誌化することにより「つながり」や「音楽語り」を消滅させることとなった。
第10章:1985年創刊の『ファミマガ』、1986年創刊の『ファミ通』、1995年創刊の『電撃PlayStation』はゲーム雑誌の代表格である。元々はソフトの紹介と攻略が内容であったがインターネットの登場により速報性に後れをとることになり、新作ソフト紹介中心の内容にシフトした。一度に内容が見やすい、という利点からゲーム雑誌は現在も存命している。
 
(2)上杉グループ
発表者:岩脇、上杉
課題本:『『平凡』の時代』(阪本博志 著、昭和堂、2008)
発表の範囲:第4章「会の衰退」、第5章「もうひとつの戦後社会論に向けて」
【発表の概要】
第4章:『平凡』が人気を博すとともに「平凡友の会」が発起したが、テレビの普及、版元のバックアップの現象により衰退した。また「平凡友の会」は娯楽を求め入会するものであったが、「若い根っこの会」は上京してきた若い地方出身者の疎外感、孤立感を救済するのが目的であったと比較されている。また1960年代に青年活動が活発化したことからも『平凡』を過渡期的な存在ととらえることもできる。
第5章:『平凡』はメディア的特質ならびに受容者において過渡期的存在であった。『平凡』を軸とした大衆文化の根底には、平準化すなわち平凡化が存在していた。読者、送り手、スターという三者をとらえるパースペクティブから1950年代把握の新たな枠組みを構築できるのではないだろうか。
 
(3)西村グループ
発表者:唐澤、福田
課題本:『族の系譜学』(難波功士、青弓社、2007年)
発表の範囲:「コギャル、ジェンダー、(アン)トラブルド」、第13章「裏原系という居場所」
【発表の概要】
「コギャル、ジェンダー、(アン)トラブルド」:メディアにより、ギャル=女子大生という図式が世に伝わっていたが、若さという自身の価値に気付いた女子高生がコギャル化した。学校の出店化により街に繰り出す等になったコギャルを男性誌も取り上げるようになった。ギャルを先行とし、ギャル男という語が生まれた。
第13章:1998年頃、明治通り以東・表参道以北の地域にオリジナルブランドショップがたまたま集積したことによりこの一帯を「裏原(宿)」と呼ぶようになった。カリスマと呼ばれる"送り手"と、彼らを信仰する若者という受け手によって成立した。自分らしさを表現するためにファッションにこだわった。「裏原系」であるか否かは「いけてる、いけてない」という感覚で決められる。
 
(4)乗岡班
発表者:平内、中新井田
課題本:『雑誌メディアの文化史〜変貌する戦後のパラダイム』(吉田則明・岡田章子著、森話社、2012年)
発表の範囲、:大澤聡「「編輯」と「綜合」」、吉田則昭「戦後文化と戦後の日本社会」
【発表の概要】
「「編輯」と「綜合」」:『改造』『中論公論』といった高級雑誌は内容での分別が難しかったため、編集が購入の判断材料であった。そのため編集批評が必要とされた。また、雑誌において紙面内部の多様性、バラエティに富んだコンテンツ、更には人物評論記事、アカデミズムの商品化といった「総合」的な空間が創出されるようになった。
「戦後文化と戦後の日本社会」:1940年代に戦前の雑誌が復刊し、新たな雑誌も誕生するように戦後に雑誌というメディアは大きく変化してきている。電子書籍も登場しデジタル化により出版物の売り上げが低迷しているが、需要がある限り、読み物、情報媒体としての雑誌は存在するであろう。
 
2 その他
4グループでの発表は本日が最終日で次週から個人発表に移る。
後期の発表は少なくとも3回であり、個人の計画報告・中間報告・最終報告を行う。
次週5月30日までにインカレのグループ分けを行う。その際卒業論文、JJ論文の個人テーマを踏まえて選ぶようにする。
 
以上 
文章担当:上杉グループ 横山
編集担当:上杉