2018年度:問題分析ゼミ[2]

2018年度の問題分析ゼミ第1回の議事録です。

日時:2018年4月17日(火)
会場:リバティタワー13階 1131教室
参加者:24名
江下、高橋、山本G(5)、星野G(6)、中島G(6)、土屋G(5)
欠席者:0名

1.グループ発表
(1)中島グループ
・発表者:嘉山
・課題本:『エジソンと映画の時代』(チャールズ・まっさー 著、森話社、2015)
・発表範囲:第2章 「メイ・アーウィンの接吻」

[概要]
「メイ・アーウィンの接吻」でとは、キスシーンが見られた最初の映画である。ミュージカル「未亡人ジョーンズ」の一部であるキスシーンを、フィルムに収めたものである。その新しい試みは、世間を驚かせ大きな話題となった。その映画は大盛況であった。相乗効果で元となったミュージカルを見に行く観客が増加した。映画がもととなったミュージカルに経済的恩恵を与えたのである。

(2)土屋グループ
・発表者:興梠、藤中
・課題本:『メディア技術史 デジタル社会の系譜と行方』(飯田豊 編著、北樹出版、
2017)
・発表範囲:「映画の歴史を巻き戻す」、第4章「音楽にとっての音響技術」

[概要]
第3章
現在は、日常にスクリーンが偏在している、19世紀の「初期映画」の時代にもマジックランタンの都市空間への映画の投影があった。その後、数々の新しい投影装置が生まれた。中でもシネマトグラフは、後の映画の基本となった。映画も一つのメディアとして画一された。また、デジタル化で日常に映像が溢れ、他のメディアとの境界が曖昧になった。逆に、映画を見るという映像文化の固有性も示唆されている。

第4章
録音はエジソンの録音再生装置に始まった、グラモフォンの登場でレコードへの録音が可能となった。また録音方法は振動記録から電子信号の記録へと移行した。ラジオ放送のより受信者は、音の発信者の存在を感じ取りやすくなったため、より「臨場感」のある音を求めるようになった。この欲求がボーカロイドを生み出した。

(3)星野グループ
・発表者:栗橋、美濃和、渡邊
・課題本:『音響メディア史』(谷口文和・中川克志・福田祐大 著、ナカニシヤ出版、2015)
・発表者:第4書「録音技術の利用法」、第5章「レコード産業の成立」、第6章「電気録音時代」

[概要]
第4章
フォノグラフは、初めから音楽のための装置として概念化されていたわけではなく、産業化の波にのるなかで、人間の声を記録するための装置として用いられてもいた。発明品は、当の社会を支えている様々な制度や文化的実践、並びに既存のテクノロジーとの関係のさなかで、役割をゆっくりと定めていく。
第5章
録音技術が社会に受容されるプロセスの1つが音楽産業としてのレコード産業である。ベルリナーのグラモフォンがレコードの大量生産を可能にしたことにより、小売り産業としてポピュラー音楽を扱うこととなった。
第6章
誕生直後の音響再生産技術はアコースティック式録音だったが、19世紀後半以降社会が「電気時代」になると、電気式の録音・再生が開発され始めた。人々の音に対するかんせいは変化し、録音の世界はハイファイ志向と構築性が追求された。そして現在のすべての音楽は「電気音楽」である。

(4)山本グループ
・発表者:清水、田中、山本
・課題本:『映像文化の社会学』(長谷正人 著、有斐闍、 2016)
・発表者:第4章「パソコンというテクノロジー」、第5章「個人を作る映像文化」
第6章「コミュニケーションをつくる映像文化」

[概要]
第4章
巨大なモノを、専門家が独占し、国家や企業のために使う、というコンピュータあり方から、小さく、素人でも操作可能で、かつ自分たちのために使う、という3つの側面での「パーソナル化」を経たパソコンは、全ての映像文化をデータとして処理しているからこそパーソナルかつポータブルな存在として私たちの身近にある。
第5章
肖像写真はかつての個人的階級、または個人との視覚的同一性を示した。コミュニケーションにおいてはイメージだけを広範囲に浸透させることや、他者との繋がりを創り出すことで自我を保ち、また自意識のイメージを得るために用いられるようになった。
第6章
写真コミュニケーションは、実践者が所属している集団を維持するという役割を長らく担い続けてきた。80年代にこれは個人化し、既知の関係を確認し、それを強化し永続する役割を担った。90年代以降には既知の集団の外でも展開され「つながる」ことを目的に拡散されることで、再帰的な人間関係の構築を実現した。また、プリクラの
盛る」文化は写真を、希薄な現実を享受しうるよう「現実を盛る」ためのツールとした。

2.まとめ
全体的な発表の流れが前回よりも、スムーズでよかった。各発表で、前週の内容とつながっているものがあれば、簡単に前回の発表の振り返りをするともっとわかりやすいと思った。

作成:鈴木・栗橋
編集:土屋