2018年度:問題分析ゼミ[8]

2018年度の問題分析ゼミ第8回の議事録です。

日時:2018年6月5日(火)15:20~19:40
会場:明治大学リバティタワー13階1131教室
参加者:23名 江下、山本G(5名)、星野G(6名)、中島G(6名)、土屋G(5名)
欠席者:1名

1. 連絡事項
・次回に取り組む本決め
・合宿での発表テーマ決めにおける先生からのアドバイス

2. グループ発表
(1) 星野グループ
課題本:『ギャルと「僕ら」の20年史』(長谷川晶一 著、亜紀書房、2015)
発表者:星野
発表範囲:5章「揺らぐ根幹、躍進する『エスカワ』」、6章「天才編集者の死」
【発表の概要】
5章 『S Cawaii!』が躍進する一方で、『Cawaii!』は部数凋落に苦しんでいた。その原因は、創刊当初のリアルな女子高生像を追いかけるという姿勢が抜け落ちていたことにあった。
6章 『Cawaii!』復活にまい進する過程で「セレ女」というキーワードにたどり着いた前田起也は『脱ギャル』を目指して『Cawaii!』を大きく転換させた。

(2) 山本グループ
課題本:『ヤンキー文化論序説』(五十嵐太郎 編著、河出書房新社、2009)
発表者:清水、山本
発表範囲:第2章後半「ヤンキー系表現の世界」、第3章「地域社会の中のヤンキー」
【発表の概要】
第2章後半 ヤンキーの表現文化としてのヤンキーマンガ、ヤンキー美術、「ヤンキーバロック」と呼ばれる建築、映画『国道20号線』に焦点をあてる。これから、ヤンキー文化は過去のスタイルと距離を置きながらオリジナリティを創造することで確立すること、機能性を重視せず、既成の量産品をカスタマイズ且つ過剰に装飾することでシンボリズムの体系を再導入し、自己の存在を表現していることが見て取れる。
第3章 ヤンキー文化において、地域の祭りはアピールの場である一方で地域社会へ戻るための社会化の場でもある。暴走族のOBは現役メンバーと地域社会との媒介として存在し、引退後に大人社会へ加入していくライフプランを提示した。しかし、今日のヤンキー文化の衰退は逸脱した若者たちがそこから抜け出すことを困難にする。

(3) 中島グループ
課題本:『アイドル/メディア論講義』(西兼志 著、東京大学出版会、2017)
発表者:中島、幸
発表範囲:6章、「コミュニケーション文化と〈アイドル〉/リアル化するメディア環境」、
7章「〈キャラ〉と〈アイドル〉/拡張されたリアリティ」
【発表の概要】
6章 リアルTVでは外部から切り離されることで仲間の間での関係性が際立つ。そしてその中で組閣によって関係性を変化させている。成長は関係性の中でこそ実現されるものであり、その成長を視聴者へ提供している。
7章 本来の意味とは異なった〈キャラ〉ということばが広まったのは、1990年代以降のことだ。キャラは性格とは無関係のグループ内での立ち位置であり、流動的性質をもつ。AKB48やももクロなどのアイドルグループは、この〈キャラ〉消費を促すための様々な仕掛けを用意することで、アイドルとファンとの間の互酬性を確立させることに成功している。アイドルが演じるキャラは、アイドルの特徴である未来予持性や、必須である成長物語を作り出すきっかけにもなり得る。

(4) 土屋グループ
課題本:『ギャルと不思議ちゃん論』(松谷創一郎、原書房、2012)
発表者:篠崎
発表範囲:第4章「ギャルと不思議ちゃん」
【発表の概要】
ギャルと不思議ちゃんは、他者との存在や異性との関係性を意識し、差異化を図ることでスタイルが変化してきた。そして、両者は渋谷と原宿、ネタ写真とガーリーフォト、浜崎あゆみと椎名林檎など様々な対立構造をもちながらも同時代を生きてきた。

3. 反省
敬語を使わずに発表する形式に未だに慣れず、知らぬ間に今まで通りの発表になってしまっている人が多く見受けられた。経験を重ねるほかないため、次回の発表に期待をしたい。

文担当:温井、萩田
編集担当:土屋