2019年度の問題分析ゼミ第9回の議事録です。
日時:2019年6月25日(火) 15:20-19:00
会場:明治大学リバティータワー16階 1168教室
参加者:16名
江下、高橋、斎藤G(5名)、佐藤G(5名)、高野G(5名)
欠席者:1名
遅刻者:1名
1 グループ発表
(1) 高野グループ
・発表者:田村、成田
・課題本:『イギリス近代出版の諸相』(清水 一嘉 著、世界思想社、1999)
・発表範囲:第1章.近代出版への歩み-第6章.新聞・雑誌連載小説
[概要]
第1章
出版部門と小売部門を兼ねていたブック・セラーが18世紀のイギリスに登場した。著作権問題や地方の小売書店との関係変化により出版社の結束が弱体化し、出版と小売が分離し、イギリス近代出版が始まった。
第2章
コーヒー・新聞・雑誌を楽しむ民主的喫茶店であるコーヒー・ハウスが中流階級に支えられ登場。コーヒー・ハウスは情報交換、文壇形成、読書の場としての役割を果たしていた。しかし排他性やコーヒーの価格高騰、ティーの普及によりコーヒー・ハウスは衰退した。その後コーヒーの減税や節酒運動、労働者層が利用するようになりコーヒー・ハウスの人気は再燃した。
第4章
18世紀イギリス全域で、地方の上層中流階級による排他的な小規模コミュニティであるブック・クラブが登場。本代の高さから設立されたブック・クラブは地方の読者層を生んだ。
第5章
新刊の即時購入や宣伝広告を行う新しい方式のミューディ貸本屋が登場。蔵書のほとんどが三巻本の小説で、出版社に取っても保証された市場となった。しかし三巻本の減少とともにミューディ貸本屋も衰退した。
第6章
18世紀ごろから連載形式での小説が雑誌などに搭載されるようになった。新聞連載小説は休日のささやかな娯楽として人気を博し、低級新聞から高級新聞まで広く掲載された。しかし、ペイパーバックや公共図書館の登場で衰退した。
(2) 佐藤グループ
・発表者:大倉、金武
・課題本:『ビック・ピクチャー』(エドワード・J・エプスタイン 著、早川書房、2006)
・発表範囲:第15章.ポップコーン経済-第21章.ミダスの法則
[概要]
第15章
マルチプレックスは劇場内の売店における販売活動、映画の上映、上映前のスクリーンを利用した広告業の三つの事業を担っていた。特に飲食物販売による収入が高くポップコーン商法という。スタジオは劇場のために映画の上映時間やレイティングなどを考慮することでポップコーン商法にも影響を与え、金銭的なインセンティブで利害対立を解決した。
第16章
国内での収益は広告にかけた経費で相殺されるため海外市場で収益を生む。そのため言語への対応やスターの海外遠征による無料PRで収益を得た。
第17章
ビデオ・ビジネスの発展に伴いスタジオも高いビデオを販売しレンタルビジネスから多くの利益を得た。また極端に人気な映画においては安いビデオを一般向けに販売。DVDが単一フォーマットとして開発され、ホームエンターテインメントビジネスを変貌させた。
第18章、第19章
テレビの脅威に対抗するためスタジオはテレビ局への映画提供の拒否や、自主映画とテレビ映画の差別化を行なった。しかしどちらも効果なく、フィン・シン・ルールによりスタジオは自主映画の放映権をテレビ局に売り込んだ。
第20章
ウォルト・ディズニー社がライセンス・ビジネスに参入し、90年代には全てのスタジオがライセンスを持つ。映画が成功してからライセンス・ビジネスが成立する。スタジオは興行性より市場性を重視し、映画が期待通りの観客を動員できなかった場合フィードバックすることで新製品に役立てる。
第21章
超ヒット作はビリオンダラークラブに入る事ができ、それらの作品にはミダスの法則という共通点を持つ。ミダスの法則は利益を生みやすいが芸術性にかける一面を持つ。
(3) 斎藤グループ
・発表者:稲田
・課題本:『刺さる広告』(レックス・ブリッグス、グレッグ・スチュアート 著、ダイヤモンド社、2008)
・発表範囲:第13章メディア配分の「物理的法則」第14章メディアの最適化でマーケティングROIを向上する
[概要]
第13章
現代のマーケターはメディア配分を広告代理店に委ね関与しない事、メディアの複雑さへの恐怖と効果を最大化するための研究不足という問題を持つ。経験に頼らず測定評価を行うことでメディア・プランニングを行う。メディア力学の5大原則でこれらを解決する。
第14章
マーケティングにおける成功を定義することは難しいがメディア力学の5大原則に基づくROIを向上させることで判断する。メディアが最適化したダヴのニュートリウムやバーヤフォードF150というケーススタディがある。
2 反省
章によって内容の濃さに違いがあり、発表に対する質問が少なくなってしまうこともあるなと思った。
作成:小武
編集:高野