2021年度:問題分析ゼミ[4]

2021年度問題分析ゼミ第4回の議事録です。

日時:2021年5月11日(火)15:20-20:30
会場: zoomによるリアルタイム講義
参加者:21名
江下、高橋、摂待G(5名)、伊藤G(5名)、田中G(4名)、金内G(5名)
欠席者:0名
遅刻者:0名

(1) 田中グループ
発表者:田中、吉川
課題本:『消費者行動論』(青木幸弘、朝倉貴士、佐々木壮太郎、松下光司 2012)
発表範囲:第9、10、11、12章
【概要】
〈9章〉
 購入意思決定プロセスにおいて、多属性効用理論を用いて、私たちは属性を手掛かりに意思決定を行う。経験をもとに意思決定を行うヒューリスティックがなされる時もあり、これはバイアスに偏りが生じることもある。また、人間の意思決定の手順を意思決定ルールと呼び、様々な要因から、それに見合った意思決定ルールを選択する。
〈10章〉
購買前には、情報の探索と解釈が情報処理として行われる。探索は内部探索と外部探索に分かれている。内部探索はブランド、属性、評価、経験に分類される。外部探索は動機付け要因、能力要因、処理機械要因の三つの要因が関与する。情報の解釈はデータ駆動型処理と理論駆動型処理が存在し、前者のほうがより膨大なデータを処理するため処理労力が大きい。外部から得た客観的な情報を、消費者が主観的に意味づける知覚符号化のプロセスが重視されている。
〈11章〉
消費者は製品そのものの中心的情報とそれ以外の周辺的情報を処理している。そして、消費者は情報処理のモードを使い分けており、選択に当たって期待できる精度を高めるか、もしくはかかる負荷を抑えるかのどちらかを優先させるかでモードが異なる。そして、内的要因や外部環境によって、精度と負荷の水準を決定している。
〈12章〉
購買意思決定プロセスによって製品購入後、消費者はその製品の再評価をし、製品に対する知識を得る。また、消費者は購買後の後悔を経験する。製品の再評価は顧客満足と関与しており、口コミやネットワーク外部性などを通して、他の消費者に影響を与えうる。

(2)金内グループ
発表者:鈴木(彩)
課題本:『現代広告論(第3版)』(岸志津江、田中洋、嶋村和恵 2019)
発表範囲:第10、11、12章
【概要】
〈10章〉
 現在世界人口の約四割がインターネットを使用している。それにより、インターネット広告が普及してきた。インターネット広告は、リスティング広告やウェブサイトのコンテンツに連動して表示される広告などの運用型広告と、バナーや動画を用いた広告や記事と広告が一体化しているように見える広告などの枠売り広告が主に挙げられる。様々なインターネット広告形態から、ターゲット戦略やフリークエンシー戦略を策定していく。インターネット広告は今後さらに多様化していく。
〈11章〉
広告はブランド資産を構築することに貢献する。ブランド資産とは、ブランド・ロイヤルティ、ブランド認知、知覚品質、ブランド連想で構成される。ブランド資産を高めることがブランド広告の最大の役割であり、ブランド・マネジメントによって戦略を策定する。まず、ブランドのコア・アイデンティティなどの基礎を思考するブランド広告戦略プランニングを行う。次に、組織の観点からブランドを考えるブランド組織マネジメントを行う。最後に、ブランド価値実現のための広告戦略の実行を考えるブランド広告実行マネジメントを行う。以上の三段階を経て、ブランド広告の展開をし、ブランド価値向上を目指す。
〈12章〉
 広告主は、広告表現やコンセプトが有効であるかどうかを検証する必要がある。広告を打ち出す前段階の調査として、クリエイティブ・リサーチを行う。この調査から、表現効果の予測や判断、代替案の選択、診断情報を獲得する。また、広告表現が期待した効果を上げるかどうかを事前にチェックする、事前テストをする必要がある。さらに実際に効果があったのかを、事後調査をすることも大切である。広告活動前後の調査が、広告活動の評価や反省の要素となり、次に生かされていく。

(3) 摂待グループ
発表者:高柳
課題本:『消費者・コミュニケーション戦略』(田中洋、清水聰 2006)
発表範囲:第7、8章
【概要】
〈7章〉
 消費者の購買の理解には、購買の際に行われる購買意思決定プロセスが重要である。情報の探索方略は、評価基準や選択肢によって異なる。そして、消費者の能動的な情報探索のプロセス及び消費者への知識形成のメカニズムを理解することが、消費者の行動予測、購買意思決定分析に必要となる。
〈8章〉
 1980年代にポストモダニズムが消費者行動研究に影響を与えた。ポストモダン消費者研究はマーケティング概念の拡大によってさらに活発になっていく。消費者が消費する対象が場所、芸術、サービスなどのビジネス的側面を持つものも包括されるようになり、従来にはない新しい研究手法の必要性が高まった。柔軟な消費活動を行うポストモダン消費者を理解することは重要な課題であり、それに伴い、インフォーマントに写真とそれに関するエッセイを書かせ、そこから消費者行動の意味を理解する集合的ストレオ・フォトエッセイ法が産み出された。

(4) 伊藤グループ
発表者:長坂、力丸
課題本:『マーケティング戦略 第5版』(和田充夫、温蔵直人、光浦俊彦 2016)
発表範囲:第12、13、14、15章
【概要】
〈12章〉
 競争対応の戦略は、マーケティング・ミックスの最適なシステム構築を方向付けるものである。一つ目の戦略は、競合他社との間に差別的優位性の構築を図るための、コスト・リーダーシップ、差別化、集中の三つの戦略から成る、ポーターの三つの基本戦略である。二つ目は、アックライフサイクル段階において最適な4P を決定する、製品ライフサイクル別戦略である。三つめは、市場における競争地位別の4P 戦略を方向付ける、競争地位別戦略がある。これらの戦略から、企業は4P 戦略を宝庫づけるとともに、マーケティング・ミックスとしての相乗効果を引き出す。
〈13章〉
 形のないサービスを提供する企業のマーケティングは、サービスの提供者と受け手の関係性が重要である。サービスの特性は、無形性、品質の変動性、売り手からサービスをきり離せない不可分性、消滅性、需要の変動性である。サービス・マーケティングは価格、チャネル、プロモーションに注意する必要がある。サービスにおけるマーケティングは、従来の手法に加えて、インターナル・マーケティングやインタラクティブ・マーケティングが重視されてきている。
〈14章〉
 社会とのかかわりを考えるソーシャル・マーケティングは、非営利組織のマーケティングや、環境問題対応や情報公開などの社会責任のマーケティング、文化芸術の擁護や援助、医療福祉などに対する慈善活動などの社会貢献のマーケティングを含む社会志向のマーケティングがある。また、企業においては、既存の手法とソーシャル・マーケティングの統合として、CSRマーケティングが提案され、期待されている。
〈15章〉
 市場が成熟していくと、環境適合重視から関係性重視に変わっていき、関係性マーケティングの重要性が高まっている。関係性マーケティングは、企業と外部のインタラクションであり、信頼とコミュニケーションの概念から成り立つ。そして、企業と顧客の融合を目指すことを目的としたMACマーケティングが有用であり、企業の長期存続という目標達成の可能性が潜在している。

2 反省
どの班も発表が長引いていた。集中力が続くように気をつけたい。

作成:一山
編集:田中