2022年度:問題分析ゼミ[2]

2022年度問題分析ゼミ第2回の議事録です。

日時:2022年4月19日(火)15:20-18:50
会場:リバティータワー1141教室
参加者:22名
江下、高橋、村川G(5名)、三浦G(5名)、米田G(5名)、山岡G(5名)
欠席者:0名
遅刻者:0名

1 グループ発表
(1) 村川グループ
・発表者:手島
・課題本:『フランス映画史の誘惑』(中条省平著、集英社、2003)
・発表範囲:第3章 映画芸術の深化、第4章 フランス映画の黄金時代
第3章
[概要]
第一次世界大戦以降、映画大国はフランスからアメリカへと変化した。作品が生み出され、新たな表現手法や思想が生まれる中で、〈フランス印象派〉と〈アヴァンギャルド〉という2つの映画のスタイルが流行することになる。
〈質疑応答〉
質問1:「アンダルシアの犬」で排除された合理性とは何か
回答:監督が夢で見たものをただ乱立させた。題名自体も全く関係ない。
質問2:フランス印象派はなぜ日本以外の国には影響を及さなかったのか
回答:他の国は他のやり方をしていたからたまたま日本に影響があった

第4章
[概要]映画史はサイレントからトーキーの時代、そして〈詩的レアリスム〉の時代へと移る。この時代に重要な作品が『巴里の屋根の下』である。これはトーキー映画、そして 〈詩的レアリスム〉の美学のあらわれともに最初の作品であるからだ。これ以降、トーキー映画の特性を活かしたシナリオ重視の「暗さ」の美学を持った作品が登場してゆく。
〈質疑応答〉
質問1: なぜ日本人はフランス映画を評価したのか
回答: 「フラッシュバック」の技法の時からフランスを真似していた流れがある
補足:アメリカとフランスの映画の影響力が大きかった
質問2:セットで作られた巴里はどんなものだったのか
回答:巴里の下町の屋根が乱立し、煙突から煙が出ていたり洗濯物が並んでいる風景。

(2) 米田グループ
・発表者: 坂入、斎藤
・課題本:『興行師たちの映画史』(柳下毅一郎著、青土社、2018)
・発表範囲: 第3章 魔術師たちの映画、第4章 フリークショー映画の栄華
第3章
[概要]
魔術師は奇術トリックを使って自分を人間以上の存在に仕立て上げる。自分のエゴを拡大するための魔術師の映画が存在した。ハリー・フーディーニは近代魔術史上最大の魔術史にして二十世紀最高の脱出芸人である。彼は映画で超人的な身体能力を誇示した。
〈質疑応答〉
質問1:ジャッキーチェンがキートンに影響を受けたのはなぜか
回答:本に記載なし
補足:チャップリンに対抗する形でキートンが登場
質問2:フーディーニの中で「氷原から激流へ」が重要だったのはなぜか
回答:自分で会社を立ち上げて制作したから
質問3:フーディーニがコナン・ドイルと出会って「氷原から激流へ」を作った流れとは
回答:ドイルとの霊的経験を通して映画を制作したが、フーディーニは懐疑的な立場をとることになっていった
質問4: オーソン・ウェルズはどういった点でフーディーニの後継者だったのか
回答:現実をフィクションに変える点

第4章
[概要]
見世物映画史の頂点とされる1932年にハリウッドにおいて最も呪われた映画「フリークス」が作られた。のちに続く見世物映画からは、奇形ホラーや小人映画などの作品群が生まれた。奇形は見世物にされる一方で、神秘の存在として崇められ感動ドキュメンタリーが作られたが、その演出は観客のショックを狙うフリークスと同じものに帰着した。
〈質疑応答〉
質問1:小人映画を使ってどのような人間社会の面を批評したのか
回答:小人の反乱をナチスに対する戯画化。普通の人がやるより、ただの再現でなくなる。
質問2:奇形者は自ら映画に出演したのか
回答:スカウト
質問3:「フリークス」がショックと言われたのはどういう点か
回答:奇形であることを強調させる演出・奇形者が泥から出てくる視覚的なインパクト・想像とのギャップ

(3) 三浦グループ
・発表者:飛世、稲葉
・課題本:『新版ハリウッド100年史講義』(北野圭介著、平凡社、2001)
・発表範囲:第3章 古典的ハリウッドの成熟、第4章 黄昏に輝くハリウッド

第3章
[概要]
40年代に入って大胆な映画作りと技法が前景化された映画を作った二人の監督が注目された。一方でハリウッドは全体的に衰退し始め、垂直統合の崩壊や、観客の減少、「赤狩り」による創造性の喪失に見舞われた。そのような衰退の中で、「フィルム・ノワール」という映画作りの技法が流行し、古典的ハリウッド映画は成熟感を漂わせる。
〈質疑応答〉
質問1:「フラッシュバック」と「ボイスオーバー」
回答:過去の回想の映像表現とナレーションだが、フィルムノワールにおいてはそれを使用し主人公の心情を大きく表現している
補足:昔のことが蘇った瞬間、過去と現在を交互に見せたり、長時間過去を映すことがフラッシュバック
質問2:主観の多層化による物語の複雑化とは
回答:フラッシュバックやボイスオーバーを使用することにより主観の多層化→物語が複雑化する

第4章
[概要]
ハリウッドは「垂直統合」の崩壊を経てその産業体制を変えざるを得なかった。さらに寄せてくる様々な波に打たれながら、ハリウッドは衰退の中で革新を遂げていくこととなる。
〈質疑応答〉
質問1:自嘲的な笑いとはどういうものか
回答:出世を目論む男が、欲の中で非力さを痛感する
質問2:パッケージ型とは何か
回答:プロデューサー統括ではなく、それぞれの分野(監督・キャスト・照明...)が映画ごとに集まる
質問3:二極化に関して、対立は大きなものはあったのか
回答:本に記載なし
補足:棲み分けなので、安定
質問4:垂直統合のプラス面とは何か
回答:独立系の会社が映画を映画館で上映できるようになった
補足:お蔵入りがなくなった

(4)山岡グループ
・発表者:榎本
・課題本:『ハリウッド映画史講義』(蓮實重彦著、ちくま学芸文庫、2017)
・発表範囲:第2章 1947~1960年のハリウッド
[概要]
テレビ普及による映画人口の減少と赤狩りによる映画人の追放でハリウッドは崩壊する。
一方で、亡命した監督たちにより、ヨーロッパでの映画製作がさかんに行われる。その後、スターリンの死を契機に反共主義の風潮が弱まり、アメリカ映画において世代交代が起こる。50年代作家の不幸と彼らが示してくれたものについて考える。
〈質疑応答〉
質問1:大作映画とは何か
回答:注ぎ込む予算の違い
質問2:低額予算の映画はどのように作ったのか
回答:質は高いまま、監督を若い人にすることで低予算にした

2 反省
質問にすぐ答えられるよう本を読み込み、該当箇所の確認・文章化を早く分かりやすくしなければならないと感じた。

作成:三浦
編集:三浦