2022年度:問題分析ゼミ[15]

2022年度問題分析ゼミ第15回の議事録です。

日時:2022年09月27日(火)15:20-18:30
会場:リバティータワー1141教室
参加者:17名
江下、高橋、村川G(3名)、三浦G(5名)、米田G(3名)、山岡G(4名)
欠席者:5名
遅刻者:2名

1 グループ発表
(1)米田グループ
・発表者:米田
・課題本: 橋本良明『メディアと日本人 変わりゆく日常』―(2011)
・発表範囲:第2章 メディアの利用実態はどう変わったか

[概要]
「日本人の情報行動調査」のデータを中心に、主要メディアの利用実態の変化について論じる。同時に、なぜ多くの既存メディアが退潮傾向にあるのかその背景について考察する。
〈質疑応答〉
質問1:情報を知るための媒体が主流だったのか、娯楽の気晴らしとしてのメディアが主流だったのか。
回答:娯楽の比重の低下は調査から分かった事実である。主流・非主流で分けるわけではなく、「ながら」視聴による安らぎの気晴しとしてのメディアは他のメディアと比べたときにテレビにしかない特徴だというのが作者の意見だ。
質問2:コンプラについての言及は?
回答:他のメディアと比較してから出した意見で、世の中のコンプラについての言及はない。
補足:娯楽番組が低下傾向にあるかは番組構成(番組数、放送時間、ゴールデンタイム)のデータを見ればわかりやすい。音楽番組が減少した理由は、テレビでのアイドル消費が減ったからだ。

(2) 村川グループ
・発表者:ショウ、手島
・課題本:林香里『メディア不信 何が問われているのか』(2017)
・発表範囲:第2章 大衆紙の噓報とBBCの公平性 英国の―EU離脱決定、第3章 大統領が叫ぶ「フェイク・ニュース!」

[概要]
第2章
英国では大衆紙と高級紙、リベラルと保守など様々な局面で二極分解している現状がある。そしてEUからの離脱という国民投票もメディアにより大きな影響を受けた。
第3章
アメリカはメディアにおいても自由の国である。大統領選挙に勝利したトランプは、テレビに多く露出したことで民衆の支持を得たが、その後「フェイク・ニュース」という言葉を使ってマスメディアを攻撃した。この行動は、米国はエリート層からなるメディア自体に不信感を持つ人々がおり、そのような民衆の思想を取り込もうとする行動だったと考えられる。このようなメディア不信を取り払うためには、社会をつなぐような公共的基盤が必要である
〈質疑応答〉
質問1:「報道する際に背景情報なしに、視聴者にうまく解説できなかった。」の背景情報とは具体的に何を意味するのか。
回答:離脱賛成者が多かったことを言わずに、公平性を保とうとした。これは他のメディアでも使われた。
質問2:テレビが人々の投票の行動に影響した調査結果はなかったのか。
回答:アメリカメディア市場の売り上げを占めていたトップ5社はエリート層によって支配されていて、トランプはそのような古いメディア(テレビ)に対して反対活動をすることによって注目された。そして夜のニュースに登場時間を比べてみると、トランプは327時間、2位のクリントンは121時間で、トランプが人々に目にする機会が多かったことがわかり、親近感を感じさせて人々の投票の行動に影響したと言える。
補足:トランプは知名度が上がったことを他の要素に絡めることができたから当選できた。単純に知名度が高いから当選できたのではない。

(3) 山岡グループ
・発表者:榎本、山﨑
・課題本:松田美佐「うわさとは何か」(2014)
・発表範囲:第2章 うわさを考える「古典を繙く」、第3章 都市伝説の一世風靡―1980〜90年代

[概要]
第2章
オルポートによれば、うわさは伝達される中で「平均化」「強調」「同化」という三つの傾向に沿って変容している。シブタニによればうわさとは「あいまいな状況にともに巻き込ま
れた人々が自分たちの知識を寄せ集めることによって、その状況について有意味な解釈を行おうとするコミュニケーション」である。清水幾太郎はより積極的に報道と世論と比較し、流言飛語について議論していて、報道と同様に日常生活で接しえない情報を伝え、ほとんどの人にとって事実かどうかは内容から判別できない。
第3章
70年代から90年代にかけて都市伝説ブーム、「ダルマ」にされた女子大生、幼児誘拐など、数多くのうわさが広まった。

〈質疑応答〉
質問1:うわさを広める人と楽しむ人、どちらが重要だったのか。
回答:聞き手が語の場に参加(反応)することが重要だと書いている。
質問2:『「ダルマ」にされた女子大生』の影響はあったのか。
回答:江下―影響を受ける水準ではなかった。

(4) 三浦グループ
・発表者:三浦
・課題本:佐藤卓己「流言のメディア史」(2019)
・発表範囲:第3章 怪文書の効果論―キャッスル事件の呪縛―、第4章 擬史の民主主義―2・26事件の流言蛮後と太古秘史―

[概要]
第3章
アメリカ大使が新聞買収工作をしたというデマが流れたキャッスル事件は、疑獄情報を載せていた新聞誌に疑惑の眼差しを向けるきっかけとなった。デマに際して新聞人は執筆者を提訴し勝訴したものの、こうしたメディア流言は大衆の新聞不信に具体的なイメージを与えた。
第4章
2・26事件の際、報道が解禁されるまで新聞は当局発表のみを掲載していたため重大情報が欠落していた。その結果空隙を埋めるものとして流言蜚語が蔓延った。メディア流言は太古秘史とも関わり合いがあり、流言は潜在的輿論であるといえる。
〈質疑応答〉
質問1:「メディア不信を煽る流言に、情報の批判的受容を訴えるのは非有効的」の説明
回答:メディアが流す流言がメディア不信を煽っているのに、 メディアが視聴者に批判的受容を訴えても意味がないということ
質問2:1流新聞社は元々信頼性がなかったのか。
回答:アメリカによって買収され、国を売ったという話があって信頼を失った。

2 反省
特にない

作成:ハンジウン
編集:三浦